こんにちは!このたび奈良県の平群(へぐり)町で、子どもと大人のためのプログラミングクラブ「CoderDojo 平群」を立ち上げたchikako2020です。

私は地元小学校の学校図書館で司書をしています。仕事でプログラミングをすることはありません。 この記事では、そんな私がなぜDojoを立ち上げようと思ったのか、そして第1回CoderDojo 平群の様子をお伝えしたいと思います。

CoderDojoとは?

CoderDojoは2011年にアイルランドで始まった世界的な活動で、世界では112カ国・2,200の道場、日本には200以上の道場があります。対象年齢は7歳~17歳となっています。

プログラミングを学びたい子どもたちが、自由に好きなものを作ることのできる環境を整えているのがCoderDojoです。参加する子どもたちは「ニンジャ」と呼ばれます。

先生が教えるプログラミング教室とは違って、Dojoへの参加は無料、自分が主体となって学んでいきます。質問にはDojoを支える大人「メンター」が答えます。

私とCoderDojoの出会い

私は2020年、特別定額給付金の10万円で中古のMacBookを買ってプログラミング学習をスタートしました。自分専用のパソコンを買うなんて生まれて初めての事です! N高生の長男といっしょに「N予備校プログラミング入門」というオンライン講座を受講して、今年で3年目になります。

CoderDojoに通うようになったのは2020年夏のからです。次男(当時小5)が夏休みの宿題の調べ学習で「Scratch」をテーマに選びました。公共図書館でScratchの本をたくさん借りたとき、そのうちの1冊にCoderDojoが載っていました。

ちょうどその頃、私も夏のコンテストのため、JavaScriptで初めての作品を作っているところでしたが、分からないことだらけ。ぜひリアルでエンジニアさんに会って直接教えてもらいたい!と強く強く願っていました。 調べてみるとCoderDojoは全国各地にあり、しかも無料!さっそく奈良のDojoに参加しました。

ちょうどコロナで参加人数も制限されていたのですが、我が家は4人(当時高1、中1、小5、と保護者の私)で参加することができました。 当時のCoderDojo 奈良は当然ながらニンジャは子どもばかり、子どもたちに混ざって私もニンジャとして参加しました。

「大人のくせに、子どもをダシにしてタダでプログラミング教えて!とか言ったりして、なんてずうずうしい人!」なんて思われていたらどうしよう…

初めはとても恥ずかしかったのですが、コンテストの締め切りに間に合わせるにはそうも言ってられません。メンターにガンガン質問しました。 やはり直接会って説明してもらうと、とても分かりやすいです。無事に作品を仕上げ、githubにアップすることもできました! 作品を応募して3年目、今年はコンテストで最優秀賞をいただきました!

子どもと大人のためのプログラミングクラブ

プログラミングは授業を真面目に受けてコツコツ勉強することも大切ですが、自分だけの作品を1本仕上げることで、格段に力が付きます! そのことが身に染みて分かりました。 たぶんCoderDojoがなかったら、自分の作品を仕上げることもできす、プログラミング学習も挫折していたかもしれません。

その後も、私は子どもたちと一緒に、奈良や生駒のDojoに参加しました。そのうち、私と同じように子どもに混ざってプログラミングを学んでいる保護者も見かけるようになりました。

頭の柔らかい子どもたちと違って、大人が新しいことを学ぶのは時間がかかって大変です。特にプログラミングはデジタルネイティブである子どものほうが覚えが早くて、逆に教えてもらうことがたくさんあります。

もしかしたら、子どもの前で自分の知らないことを勉強するのは恥ずかしい、と思っている親御さんもいらっしゃるかもしれません。大人は子どもの前で弱みを見せてはいけない、大人は子どもを指導しなければならない、そう思っている大人はまだまだ多いでしょう。

そんな固定観念をCoderDojoはぶっ壊してくれました。

子どもも大人も一緒に学んでる姿っていいな~。そんなふうに思いながらCoderDojoに通って、いつのまにか3年目になりました。

子どもたちが大きく成長したらCoderDojoに来ることもなくなって、ここまで一生懸命取り組んできたプログラミングの勉強もやめてしまうかも?先のことを考えると、ちょっと寂しい気持ちになりました。

平群でもCoderDojoやりませんか?

そんな中CoderDojo 奈良のチャンピオン(道場主)から、県内のいろんな場所で1回だけCoderDojoをやってみるので、平群でいい場所ある?とお話がありました。私は新しくできたばかりの町立文化センターを紹介し、予約などのお手伝いをしました。

2022年7月4日に行われた「CoderDojo 奈良@平群」では、職場である小学校の子どもたちが参加してくれたので、一緒におしゃべりしたり、toio遊んだりできました。普段仕事でゆっくり子どもたちと触れ合う時間がないので、新鮮な体験で、とても楽しいと感じました。

その後、奈良のチャンピオンから「平群でもCoderDojoやりませんか?」とお声がけいただきました。 これから先のことを考えて少し寂しく思っていた私は「はい、やります!!」と答えました。チャンピオンになってしまえば、我が家の子どもたちが成長してもCoderDojoと関わっていけると思ったからです。

立ち上げまでのハードル

やると決まったら、さっそく行動に移します。 一番大変だったのは会場探しです。WiFi、電源、モニターやプロジェクター、机、椅子…必要なものがすべて揃っている所、しかもCoderDojoは無料で開催するので、会場費も無料でなくてはいけません。

前回かりた町立文化センターも会場費がかかります。しかも平群町民が参加者の半数以上いなければ会場費は倍額になります。 私は自分が住んでいる地域以外のCoderDojoに参加しています。それに、いろんな地域に住んでいる人が集まれて交流できるのがCoderDojoの醍醐味だと思っているので、住んでいる場所によって参加制限をかけたくありません。 チャンピオンや関係者に手伝ってもらって、無料で部屋が貸してもらえるように依頼文書を作成し、町の教育委員会に提出しました。

しかし、いろんな場所を検索し、いろんな人に聞いて回っても、WiFiや備品がそろって、無料でかりられる場所はなかなか見つかりません。 あきらめかけた時、地域の西宮公民館が使えるかも?という話を聞きました。しかしWiFiは付いていないし、たしか自治体の住民以外の使用は倍額請求だったはず…と思いながら、思い切って自治会長さんに電話で問い合わせてみました。

子どもたちのために無料のプログラミング教室を開きたい、と恐る恐るお話すると「それならWiFiを導入できるように会議で提案します!それから、どこに住んでる人が来ても部屋代無料!!」となんとも頼もしい返事をいただきました。初めは信じられなくとてもびっくりしましたが、ご好意を素直に受け取って、ありがたく使わせていただくことにしました。

順調だと思っていたら・・・

開催場所は決まりましたが、いつWiFiが入るか分かりません。ちょっと気を抜いてのんびり過ごしていました。(←今振り返ると、これが落とし穴でこの時に早めに行動してたらもっとスムーズにいったのに、ととても後悔しています。)

ある日突然、自治会長から「もうWiFi入るから、はよ使ってや~」と言われました。え~っ!聞いてないよぉぉぉ~!

そこからは、またまた奈良のチャンピオンに手伝ってもらいながらオンラインでCoderDojo立ち上げの申請をしました。申請には思った以上に時間がかかります。 順調にいかずトラブル続き、アイルランドのCoderDojo本部とのメールのやり取りは、当然ながら英語です。DeepLを使いながら、生まれて初めて英語でメールを送りました。

いざ実際に開催するとなると、いまだに変数もよく分かっていないこんな私がチャンピオンとしてやっていけるのか?と、ドキドキして不安になり、夜中に目が覚めるようになりました。そんな中、話を聞いて温かく支えてくれたのは家族でした。 さらに奈良のチャンピオンが作ってくれたラインのオープンチャットや、CoderDojoのSNSからもたくさんの励ましの声をいただきました。 本当にありがとうございました!

ついに開催!

そんなバタバタした中、2022年11月12日(土)13:00~16:00に第1回目のCoderDojo 平群を開催しました。

第1回CoderDojo 平群

第1回CoderDojo 平群

ニンジャ5名(小2(Minecraft)、小6(Minecraft)、中1(Scratch)、中3(Scratch)、高3(JavaScript)) 保護者1名、メンター6名、見学1名、チャンピオン1名、 参加者は全部で14名でした。

13時から2時間は各自でプログラミングに取り組み、15時から発表を行いました。 発表した作品は

  • 小2「Minecraftで服屋を作りました」、
  • 中3「中2の時にScratchで作った『中2病っぽいロシアンルーレット』」、
  • メンター「Pythonでmicro:bitをプログラミングしてみよう」、
  • メンター「パソコンでフリック入力」、
  • チャンピオン「micro:bitでシーソーギター」でした。

はじめてのCoderDojoの開催、直前にニンジャ2名から体調不良のため欠席と連絡をいただき心配していましたが、無事に開催することができました。

メンターがたくさん参加してくれて、交流や、githubのミニ講義も行われ子どもだけでなく大人もプログラミングに取り組めた3時間でした。

wifiにも不安がありましたが、安定してして使用する事が出来ました。次回はもう少し参加者を増やしても大丈夫そうです。


今回の参加者は子ども少なめ、大人多めでした。 CoderDojoといえば子どもたちがメインになってプログラミング学習に取り組むものかもしれません。しかし、子どもだけでなく大人も気軽に集まってもらえるようなCoderDojoもいいな、と思います。

子どもと大人のためのプログラミングクラブ「CoderDojo 平群」、これからもよろしくお願いいたします。